一ノ瀬ユウナが浮いている

乙一さんによるノベライズされたサマーゴーストの姉妹作となる本作品を読みました。

本作品のあらすじを書くので以後はネタバレとなります。

少し読んでから時間がたってしまったので記憶を手繰り寄せながら書いていきます。途中、誤解や誤植が残る可能性がありますが大きくはずれていないはず。

主人公の遠藤大地とヒロインの一ノ瀬ユウナの二人の恋物語

遠藤大地の初恋相手である一ノ瀬ユウナは17歳の時に水難事故で死亡してしまうが、線香花火を焚くことで一定時間現世へ霊体として帰還することができることを発見し、ことあるごとに逢瀬を重ねる。

一ノ瀬ユウナを視認できるのは遠藤大地のみであり、一ノ瀬ユウナは物理的にものに触れることはできないのだが、遠藤大地は彼女を触り引っ張ることができる模様。（逆は不可能）

一ノ瀬ユウナが生前に好んでいた少年誌を読ませてあげたり、一ノ瀬ユウナの家族に会わせてあげることが表向きの会う理由であったが、遠藤大地は一ノ瀬ユウナに会いたいからことあるごとに現世へ召喚する。

ところがある時に線香花火の在庫が切れかけていることに気づき、補充しようと町へ出かけるのだが一ノ瀬ユウナを召喚できる線香花火は特定のお店の花火師さんが作っていたものでしかなく、その花火師さんも引退してしまったため一ノ瀬ユウナ一のと会える回数に限界値が設定されてしまうのだった。

遠藤大地がストックしてあった一ノ瀬ユウナを召喚できる線香花火があるとき親戚の小さい子たちが遊びに来ているときに一度に消費されてしまい、突如あえなくなってしまう。

月日は流れ遠藤大地も大人になり小学生のときから付き合いのあった友人たちと久しぶりに会い、小学生の時に埋めたタイムカプセルを掘り起こすことになる。

その線香花火は小さいときに遠藤大地と一ノ瀬ユウナ（と同級生2人）が商店街で買って遊んでいた思い入れのある品であり、一ノ瀬ユウナを召喚できる線香花火であった。

最後の最後に一ノ瀬ユウナを召喚して、17歳の当時の気持ちと自分の気持ちを間接的に伝え、一ノ瀬ユウナも自分の気持ちを伝えて成仏していくのであった。

ファンの間では白乙一とカテゴライズされる作品になるかと思いますが、切なさの達人といわれている乙一さんの良さとタイムカプセル伏線によるハッピーエンドへの自然な展開には唖然としました。

ダークな感じの黒乙一作品も読みたいので首を長くしてお待ちしております。